「おもしろい」のゲームデザイン 再考

東京大学ゲーム研究プロジェクトの定例研究会で『「おもしろい」のゲームデザイン』が取り上げられていたので、久しぶりに顔を出してきました。

前半が学部生の皆さんによる要約解説で、後半がフリーディスカッションでした。以前に感想を書いたことがありますように、一回読んだ本ではありますが、他人の解釈を聞いたうえでディスカッションすると見えてくるものもありますね。

この本は UO および EQ の製作者である Coster 氏がこれまで溜めてきたものを吐き出す場であると同時に、Coster 氏のゲーム開発者へ向けたメッセージでもあります。間の濃密な内容を飛ばして、ざっくり本全体の構成を要約すると、「ゲームの面白さのコアはパターン認識である」→「パターン認識とは人間の通常の世界での学習そのものである」→「ゲームは人間の学習に強い影響を持ちうる」→「ゲーム製作者はゲームの持つパワーを認識し、人間性を高めるような方向にゲームを持っていかなければならない」。

あと、もうひとつの主題として「ゲームは芸術である」というものもありますが、これはアメリカにおいて、開発者・研究者問わず、ゲーム関係者が口をそろえて唱えるスローガンのようです。政治的な何かの動きと見る向きもありますが、純粋にゲームの地位向上を願って出てくる言葉がアメリカでは「芸術(Art)」であるだけではないかと思います。映画を意識していないといえば嘘だとは思いますが。

そもそもアメリカではテレビゲームは Science に属するものだととらえられているようで、Art でもある、と主張することで、Art & Science のひとつの文化だ、という主張までもっていきたいんでしょうね。テレビゲームがおもちゃから始まっている日本とは状況がかなり異なる気がします。