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考具 ―考えるための道具、持っていますか?

本屋でふらっと見かけたので、以前どこかで紹介されていたなぁ、と購入してみました。よい企画をひねり出すためにはアイデアを量産することが必要ですが、そのアイデアを生み出し、育てるためには、どのようなツールを使っていけばよいのか、ということを記した本です。

著者が博報堂の現役社員ということもあり、実例豊富で理解もしやすく、あっという間に読み終わってしまいました。濃密な内容、という訳ではありませんが、アイデアを生み出すという作業がどんなものかを理解するにはとてもよい本ではないかと思います。以下、気になったポイントを箇条書きにメモ。

  • 「わがまま→思いやり」
    • もともとはインダストリアルデザイナーの川崎和男さんの言葉だそうです。
    • まずは、自分のやりたいことだけを考えてアイデアを出し、それを企画に落とし込む際に諸々の条件に適合するように調整していく、という順番が大事ということ。
    • 自分が熱意を持てる、やりたいことがコアにないと駄目ですよ、という話。
    • 自分も、つい、諸条件を先回りして考えてしまった上で、どんな企画があるかを発想しようとすることが多いのではないかと反省しました。
  • アイデアの発想法は、拡げて絞って、また拡げて絞る。
    • アイデアは量が質を生むものなので、どんなくだらない、不完全なものでもいいから、とにかくたくさんひねり出すことが重要。
    • その大量のアイデアを足したり引いたりかけたり割ったりして、シンプルなものに絞り上げていく。
    • その繰り返しで企画は練られていくものである。
  • 考えるための道具=考具
    • アイデアの種となる情報をとにかくインプットするための考具として、以下のものが紹介されている: カラーバス・聞き耳・ちょいメモ・「七色インコ」・フォトリーディング・臨時新聞記者
      • これらの手法のポイントは何かと考えると、おそらく情報のインプットの間口を拡げるということ。普段の思考で普段の行動をとっていると、限られた情報しか頭の中に入ってこないため、意識的に普段の思考から外れることが必要ということでしょう。
    • アイデアを頭の中で展開していくための考具としては: アイデアスケッチ・ポストイット・マンダラート・マインドマップ・連想ゲーム・オズボーンのチェックリスト・ブレスト
      • これらの手法のポイントは、思考の半径を拡げるということ。漫然と楽に思考していると、どうしても普段の思考と密に結合した範囲をぐるぐる堂々巡りするだけになってしまう。これを打開するためには、ある程度思考対象をピン留めした状態でその周辺を無理矢理頭に開拓させるか、もしくは意識的に思考を動かし続けてどこかに思考が飛んでいくことを期待するかするしかない。
    • アイデアを企画に収束させていくための考具としては: 5W1H・タイトル・ビジュアライズ・マンダラート・企画書
      • 穴がないように具体化するための手法。自分が具体的にイメージできていれば、相手にもリアリティあるものとして伝えられるはず。

企画することを日常としている人にとっては、わりと当たり前のことばかり書かれているのかもしれませんが、上記でふれた考具のうち、なんだろう?と思うような箇所があれば、本書を手に取ってみるのも悪くないのではないでしょうか。

マインドマップ

なお、マインドマップに関していえば、FreeMind というツールが非常によいできです。0.8.0 は特に何もせずに日本語になりました。ちなみに、Java のランタイム が別に必要です。Enter を押すだけで兄弟ノードができますし、Ins を押すだけで子ノードもできます。Ctrl+↑↓でノードの移動も簡単に。思いつくまま、さくさく入力できますので、一人でブレストをする時にメモ帳代わりにおすすめです。