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エッセンスで読むコトラーのマーケティング入門の入門

コトラーくらい読んでおかないとなぁと思いつつも、あの分厚さにいつも意気をくじかれていたところ、キャッチーなタイトルを見かけてしまったので思わず買ってしまいました。マーケッティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー教授の持論のエッセンスをまとめた入門書です。

結論から言ってしまうと、実学として使いたい方には「どうすればいい」という具体的な記述がありませんのでおすすめできません。しかし、マーケッティングという理論でどのようなことが語られ、どのような問題が解決するのか、という概論的なところをさらってみたいという目的であれば、十分に役に立つのではないでしょうか。キーワードだけでも分かっていると、本格的な書籍に取り組むときにも理解が早いのではないかと思います。もっとも、ページ数換算で3倍分がんばって、最初から「コトラーのマーケティング入門」を読んだ方が手っ取り早いし誤解も少ないかもしれないという疑念は未だにぬぐえません(苦笑)。現に、この「エッセンスで読む〜」でよく分からなかったところを入門のほうで確認したらさっくり理解できたりもしました。もっとも、初めて見聞きすることは様々な角度からの記述を読んだ方が理解は早いですから、そういった意味では意味はあるでしょう。

さて、例によって自分のリマインダーとしてのメモを以下に。気になったところを自分の言葉でメモしていますので、必ずしも本書の内容を反映したものではありません。

  • 何かが満ち足りないという「ニーズ」が具体性を持ったものが「欲求」であり、それと購買力が結びつくと「需要」になる。
    • 例)お腹すいたなぁ→ハンバーガー食べようか→マクドナルドでお買い物
  • ユーザが製品を買うのは、その製品が欲しいからではなく、「ニーズ」を満たすための一つの手段でしかないことを忘れてはならない。
    • 「ニーズ」を満たす方法を他に見つければ、容易に移られてしまう。
    • 例)ハンバーガー食べようと思ってたけど、目の前にCoCo壱があるからカレーでいいや。
  • 「顧客価値」とは、ユーザがその製品によって得られた主観的な価値から、支払った金額の価値を引いたもの。
    • 値段を安くすれば顧客価値は簡単に上げられる(が、それでは商売にならない)
  • 「顧客満足」とは、ユーザがその製品を使用して得られた有用性から、事前に抱いていた期待を引いたもの。
    • 過小宣伝すれば顧客満足を上げられる(が、それでは売れない)
  • 新規顧客の獲得はコストが高いので、反復顧客を増やすように努めるべき。
    • そのためには、顧客価値と顧客満足の双方で高いレベルを維持しなければならない。
    • 毎年顧客の1〜2割を失っている。
    • 顧客離れを5%下げると利益が25〜85%上昇する。
  • ブランドイメージの6つの段階とは「属性(特徴)」「ベネフィット(特徴がユーザにとっての具体的な利益となったもの)」「価値(企業の価値観)」「文化(象徴する文化)」「パーソナリティ(擬人化されたイメージ)」「ユーザー(ブランドの支持者はどういう人だと見なされるか)」
    • このうち、まねされにくい永続的なブランドの意味は「価値」「文化」「パーソナリティ」
  • 市場すべてを相手にすると散漫になってしまうので、どんなユーザをターゲットにするか、市場をセグメント化して考えなければならない。
  • マーケッティングを行う際には、ターゲットとなるユーザの頭の中で自社がどうポジショニングされるかを意識することが大切。
    • その際には、ユーザにとって分かりやすく、かつ他社にはない利点をもち、さらにはお買い得であると思わせるようなポジショニングを行わねばならない。
  • 大きな利点のある新製品は98%が成功している。平均的な利点がある製品は58%が成功している。利点があまりない製品は18%しか成功していない。
  • ユーザの購入までの段階には、「認知」「理解」「好意」「選考」「確信」「購買」の6段階がある。
    • 「他のじゃなくてこれが欲しいんだ」と思ってもらわないといけない。
  • マーケッティングとは本来、顧客の利益を自らの利益とするものである。
    • お金を浪費しているとか、侵略的であるとか、操作的であるという批判があるが、それは適切でないマーケティングを行ってしまった場合のこと。
    • (なので、大学などでもどんどんマーケティングはやるべき)