第一世代 "Drama Engine" 比較

今年の GDC にて Comparing First-Generation Drama Engines というポスターセッションがありました。実物は見ていないのですが、スライド資料(PDF) が公開されていましたので、ご紹介。なお、僕自身は Facade しか存じませんでしたので、資料で書かれている通りにご紹介するのみです(^^;

この資料では、仮想キャラクターがインタラクティブに物語を生成していく "Drama Engine" の試みを4つ紹介し、第一世代と称して比較しています。

Storytron

「生成的なシステム」かつ「均一なキャラクター」の Storytron は、簡易言語で記述された文章から物語を生成するシステムです。アニメーションなどはない、というか、そもそも空間の概念がありません。表情が変化するのみです。キャラクターの特徴や状態、反応は -1 から 1 の間の値を取る小数の上で扱われます。

サイトは http://www.storytron.com/ クリス・クロフォードさんの理論を実学に落としこむ、という方向性の活動のようです。

Facade

「生成的なシステム」かつ「非均一なキャラクター」の Facade は、何段階かの記述言語とモジュールを組み合わせたシステムです。詳細は調べていただくとして、全体的な記述と、キャラクターの振る舞い、そして、個別の会話の記述用などに言語の階層が分かれているようです。

キャラクターの振る舞いは、A Behavioral Language という言語を用い、前提条件と行動の組で記述します。3D 空間でキャラクターと対話しますので、会話内容と共に距離感や表情などの表現もできます。問題は、キャラクターの振る舞いを ABL で記述するのがたいへんだということのようで。

サイトは http://www.interactivestory.net/ 実際に仮想夫婦とコミュニケーションできるソフトを無料でダウンロードしてくることができます。

Drama Princess

「創発的なシステム」かつ「均一なキャラクター」の Drama Princess は、プレイヤーの解釈に任せる感じのツールのようです。キャラクターは環境中のオブジェクトの影響されて動き、オブジェクトへの思い入れを示す「情熱」という1つの変数だけで特徴付けられます。……僕も何を言っているのか分かりません。

ともかく、即興劇のような感じのソフトであって、筋立てを用意して物語を作るという性質の物ではないようです。

サイトは http://www.tale-of-tales.com/DramaPrincess/

Rocket Heart

「創発的なシステム」かつ「非均一なキャラクター」の Rocket Heart は、従来型のゲームエンジンに組み込んで使うことを想定されて作られたものです。ゲーム内の従来型の行動がキャラクターの相互関係に影響を及ぼすような感じで組み合わせて使えるのではないかと思われますが、詳しく調べてみないことにはなんとも。

どうも、具体的なツールの話ではなく、Craig Perko さんの blog に書かれたスクリプト言語のアイデアがベースの話のようですので、詳細は http://projectperko.blogspot.com/search?q=rocket+heart で。スクリプト言語の仕様書っぽいものも落とせます。