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アドバゲーム: The Shochu Bar

ゲーム開発

アドバゲーム」というような新語を聞くと、何ともいえないうさんくささを感じますが、商品やブランドのプロモーションのために利用するゲームのこと、のようです。最近話題のゲーム内広告とはまた違って、ゲームをプレイする過程で商品やブランドに対するポジティブな印象を与えるような、専用のゲームをプロモーションのために作る、というもの。

旧聞ではありますが、スクエニと学研の合弁会社であるSGラボが 「The Shochu Bar」 というアドバゲームを作ったという記事をどこかで目にして知りました。アドバゲームというと、ミニゲーム程度のものも多い中、アドベンチャーゲーム形式で制作しています。なお、プレスリリースが出た6月当時の記事はここらへんです。

SGラボは今年のGDCのシリアスゲームサミットでも話していたようですが、学研の強みを生かして、学校に食い込んでいくような学習系ソフトにも取り組んでいるはずです。ただ、アウトプットとして一番形にしやすかったのが、アドバゲームという形だったのでしょうね。

今回の対象は、日本蒸留酒酒造組合による甲類焼酎の PR。そのために、焼酎 BAR の中を探索するアドベンチャーゲームが制作されました。Flash ゲームということもあって、クリックするだけの簡単操作、というふれこみになっています。が……。

プレイした感想は、なんといっても「難しい!」。その難しさは、進行が難しいのもありますが、操作説明の不足で難しくなっている部分もあります。どこで読んだか覚えていないスタッフへのインタビュー記事には、クリア率が17%だと書かれていたように記憶していますが、むしろ6人に1人もクリアできたんだ!と驚くくらいの難易度でした……。

操作説明の不足という点では、なんといってもアイテムを組み合わせて使うやり方のチュートリアルが無い。アイテムの説明画面を拡大表示した状態で、別のアイテムをダブルクリックする、というのが正解ですが、その方法の説明が無いのです。その上、組み合わせて使えないアイテムの場合は UI 的に何の反応も示さないので、組み合わせて使えるアイテムを手に入れた上で正しい操作をして、初めて自分の操作方法が正しかったことが分かる、という仕様です。アドベンチャーゲームの作法が分かっている人ならば類推でなんとかなりますが、主人公がOLであることから考えても、今回のターゲットって違いますよね……。

また、クリックできる場所のガイドがまったくないのも、ゲーム初心者を相手としなければならないアドバゲームとしてはいかがなものかと思いました。アドベンチャーゲームをある程度やり慣れているはずの自分でさえ、かなり手こずった上に、竹馬を作るところでは完全に詰まって攻略サイトのお世話になってしまいました。

難易度を上げることで、滞在時間を増やし、ゲーム内に用意された焼酎の蘊蓄をたくさん読んでもらおうという意図があるのかもしれませんが、無料のゲームを時間つぶしに遊んでいる人に対して、ご褒美もなしにストレスだけ与えても、簡単に止めてしまうだけですよね。もっと適切にご褒美を出しつつ、その達成感と商品イメージを重ねてポジティブな印象を与えるような作り方が必要ではないでしょうか。アドバゲームでは、通常のパッケージゲーム以上に、気持ちよく遊んでもらうおもてなしの心を忘れてはならないなぁ、と強く感じた反面教師な一作でした。

なお、グラフィックスは画面移動の演出など Flash ゲームとは思えないほど洗練されていましたし、音楽もよかったですね。インタビューでも難しくしすぎたとの言葉がありましたので、SGラボの次回作に期待します。