WISS2007

ハウステンボスの夜景
昨年もWISS2006に行ってましたが、今年も代休やら有休やらを使って WISS に行って参りました。2泊3日で開かれるインターフェイス系のワークショップです。

今年は開催地が長崎はハウステンボスということもあってか、参加者が例年にも増して多かったような気がしました。ただ、やはり密度も濃く、充実した楽しいワークショップでした。

予稿集の PDF やムービーはこちらから。

ちなみに、ハウステンボスはオフシーズンの平日だったからか、修学旅行生や海外からのツアー客のほかはほとんど人が入っておらず、閑散としておりました。そのわりには、夜はきっちり毎日花火イベントがあり、採算が取れているのか人ごとながら心配になったり……。やはり、併設されている別荘地からたくさん吸い上げてるんでしょうか。

なお、11月〜2月は光の街というイベント期間で、綺麗にライトアップされておりました。でも、こういうところは男一人でくるものじゃないですね(笑)

興味深かった発表

どれも面白かったのですが、時間もないのでコメントしやすそうなものをいくつかメモっておきます。

  • とりあえずゲームに関係ありそうなものは:
  • 感情モデルの部品化と顔表情アニメーションへの応用
    • NPC の感情の変化のエンジンを作ってみました、という研究です。
    • 同じエンジンを使い回しながら、外交性と協調性という2つのパラメータで各 NPC に簡単に個性付けができる、というのが売りのようでした。
    • 関連研究、特に北米のゲームAIの研究のサーベイが足りていない雰囲気が漂っているものの、着眼点は正しいですので、ぜひ正面からの研究を続けていって欲しいものです。
    • とりあえず、Facade を調べてみるよう、オススメしておきましたが、もっと適切な資料があったような気も……。分かる方は直接教えて差し上げてください(他力本願)。
    • 1st author の小笹千紘さんの受賞歴に「日本ゲーム大賞2006インディーズ部門大賞受賞」とあるのを見つけてしまいました。
  • 指の開閉動作を用いた多人数向けテーブルトップエンタテインメントシステムの実装
    • 画面が表示されているテーブルの上で手を開いたり閉じたりするとたまを撃つシューティングゲーム。(ゲームは応用の一つですが)
    • デモムービー(MPG) を見るのが早いかと。
  • ダンスパフォーマンスのための加速度センサを用いたウェアラブル楽器システム
    • 両足の先に加速度センサを付けて、そのモーションをコマンドとして音を鳴らす、というパフォーマー向け楽器。
    • デモで踊りまくってらっしゃいました。さすが塚本研。
  • 水平振動を用いた机上群ロボットシステム
    • 一つの板の上に乗っている、電磁石だけを備えた複数の移動体が、それぞれ任意の方向に移動可能な仕組みの提案。
    • 板が微少な円運動(振動)をし続けており、自分の行きたい方向に動いた瞬間に電磁石を切って板から離れることで移動します。
    • 移動体の構造が単純で、かつ消費電力も少なくて済みそう、というのがポイント。
    • なかなか斬新で新しい制御方法です。動きもスムースで面白い。
  • 以下、微妙に遠いけれども気になった物:
  • Music Mosaic Generator: 高精度時系列メタデータを利用した音楽リミックスシステム
    • 2つの楽曲をミックスすることを支援するソフトウェアです。
    • 波形データ2曲分を入力し、ユーザが編集すると、ミックスされた楽曲が出力されます。
    • 小節を解析した上で、2つの曲でコード進行が似ている部分を可視化してくれる他、この小節をここにはめる、と指示をすると、自動的にテンポやピッチを調整してくれます。
    • できあがったサンプル曲の出来はお見事の一言。お聴かせできないのが残念。
    • ミックス後の楽曲そのものではなく、どうミックスするかの「レシピ」だけ共有すれば、著作権に引っかからずに二次創作を共有できるのではないか、というアイデアもあるようです。
    • 定額配信サービスなどにぴったり合いそうですが……著作者はいやがりますよね、これ。同一性保持権で訴えられそうな匂いも。
  • I/O Plant: 植物とのインタラクション設計支援環境の構築
    • 植物の電位を計って、様子を光で可視化するプランターの提案。
    • デモムービー(MOV) がなかなか素敵。
    • 生の植物を使うのが提案の良さだとは思うものの、光度計や温度計・湿度計などを備えた仮想の植物ペット、という商品もいけそうな気も。
  • 電子ドラムでパソコン操作を可能にするおもしろユーザインタフェース
    • タイトルそのまま。ネタ系。フィル・インで濁点とか。
    • デモをやっている人を見ているのが楽しかったです(笑)
  • 持ち運び可能な傘型仮想音響場生成デバイス
    • ゲーム開発とは全然関係ないですが、楽しい未来を感じさせるデバイスでした。音質は結構良かったです。
    • Engadget Japanese にもkentaro さんの記事があります。
    • 新婚のI夫妻の相合い傘の写真を撮っている人たちがたくさんいたのも印象的でした(笑)
  • ホタル通信:呼吸情報を用いたコミュニケーションツール
    • 呼吸の様子を光の点滅にマップして可視化するコミュニケーションツールの提案。
    • 息を荒げていると、それが相手に伝わります。と本当に説明されていましたが、それが目的ではないはず。
  • 動画共有に基づいた非同期コミュニケーションの連帯感を向上させるインタフェース
    • ニコ動のインターフェイスがいっこうに進歩しないことに憤りを感じて始めた研究(違
    • 簡単に言えば、良コメントをクリックすると評価したことになり、評価を集めたコメントが光り輝くようになります。
    • 他にもいろいろ提案がある模様。
    • コメントをクリックしたら目立つようになる、というのはシンプルでかつ効果的な提案だと感心しました。ぜひ売り込んでいただきたい。