ゲームとテーマ

隣のエントリからのはみ出し話。物語系のゲームと、非物語系のゲームを分ける大きな違いとして、CEDEC などでよくお見かけする川邊一外先生が講演でよく挙げられるものが、テーマです。

非物語系のゲームのほとんどは、半ば自動的に「Survive!(生きよ!)」がテーマとなっており、ユーザに伝わるメッセージにはあまりバリエーションがありません。これは、アクションで気持ちよく感じるものは、基本的に本能に根ざした生存にかかわる動作であって、それを推奨するゲームデザインは生き残ることの素晴らしさをユーザに刷り込むことになるから、という論旨です。

逆に、物語系のゲームには、もっと多様なテーマを乗せることができます。だから、多様性を増すためにも、もっと物語系のゲームも頑張りましょう、という話になります。

この議論の背景には、映画にせよ、小説にせよ、他の媒体においては、創作者の活動の意義は、受け手にテーマを伝えることである、という価値観が根底にあるように思えます。その基準で考えた場合、より多くのゲームの作り手が創作者としての自覚を持ち、作品に豊かなテーマを乗せるようになることが望まれるのでしょう。

なお、すべてのゲームにテーマが必要かについての議論はここではしません。そういった考え方もあるんだ、ということで。

個人的には、ゲームによって楽しんでもらった先に、さらに世の中が少しでも良くなることに繋がる何かがあるのであれば、それは素敵なことだと思っています。しかし、それは大上段に構えて実現できるものなのかと問われると(他媒体の芸術作品と呼ばれるものを見ても)よく分かりません。レッテルをどう貼るかではなくて、ひとりひとりの開発者が、自分の商品がお客様に楽しんでいただいた、その一歩先に、何があって欲しいのかに少しだけでも気を留めておくことが大事なのではないでしょうか。

ちょっと抽象的?

さて、とりあえず直近で引き出しに溜まっていた話はこれくらいです。当分は長文は書きません(笑)