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Win「Analogue: A Hate Story」Christine Love

playism.jp

欧米のインディのビジュアルノベルとして時々噂を聞いていた Christine Love の「Analogue: A Hate Story」の日本語版があることを知り、PLAYISM から購入してプレイしてみました。

テーマとしては李氏朝鮮時代のような男性優位の社会に生きる女性を描いたものなのですが、舞台を宇宙船にし、物語る手段を、AIのサポートを受けながらメインコンピュータに遺された過去のログを読んでいく、という設定にしたことで、非常に独特なプレイ感が得られています。

カナダ人の女性制作者が韓国文化圏を舞台に作ったゲームではありますが、キャラクターデザインは日本のビジュアルノベルとの親和性が高く感じます。AIとの対話もその文脈で違和感はそれほど無いはずですので、日本のADVファンにも取っつきやすいはず。ログを読んでいくという体裁上、直線的に遊んでいけないため、決して遊びやすいとは言えないのですが、見たことがない ADV の構成に興味のある方には、ぜひプレイしていただきたい一品です。

少しずつ開いていく記録ファイル+コンソールでのコマンド直接入力というスタイルは、もっと磨けばさらに面白い方向性が生まれそうですが、これだけを単体コンテンツにするのはやはりインディゲームサイズが丁度よく、これ以上大きくするのはハードル高そうですね。

同じようにコマンドラインでコマンドを入力しながら遊ぶものの、こちらはパソコン通信時代が舞台となる旧作「Digital: A Love Story」も日本語版が進行していそうな噂ですので、そちらも楽しみです。

以下、完全ネタバレのプレイ後メモ。

マルチエンドですが、分岐点はわりと分かりやすい構造で助かりました。選択肢がけっこう頻繁にあるため、もしかしたら好感度的な処理があるかもしれません。ゲーム的には正しそうなのに、心情的に選べるかどうかギリギリの選択肢もあったりしますが、そのあたりのプレイヤーの想定される感情を、選択肢で細かくフォローしているところがいいですね。このあたりも作家性なのだと思います。

トゥルーエンド的な位置づけのものがあるのは、日本のADV文化の文脈かとは思います。そこの仕掛けの一捻りは、特定のルートでは手に入らないはずの情報を、分岐の超越者であるプレイヤーの知識によりもたらす、というもので、ゲームの通常の枠組みから一歩はみ出ています。そういう仕掛けの事ばかり考えている身には「そうそう、そうくるよね」と予定調和感はありましたが、それでもプレイヤーだからできた超越者としての喜びを十分に感じさせる良い仕掛けでした。本当は、この超越者としてのプレイヤーの立場について、何か本編側からの言及があると、ゲームの世界がPCの中から一歩はみ出ることができるのですが、それは望みすぎでしょう。