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DS「THE 鑑識官・THE 鑑識官2」TOMCAT SYSTEM / D3 Publisher

ゲーム

SIMPLE DSシリーズVol.15 THE 鑑識官2 新たなる8つの事件をタッチせよ
SIMPLE DSシリーズ Vol.8 THE 鑑識官 ~緊急出動!!事件現場をタッチせよ~

SIMPLE シリーズで定期的に出ている推理ものの最新作です。買って積んでいたのですが、先日の帰省がてらにようやくプレイしました。PS2 で出ている「THE 推理」や「THE 裁判」と擬人などの背景設定を共有しています。いずれも SIMPLE シリーズではありますが、ADV としての本質の部分は手を抜かずに作られている良作シリーズですね。

この2作も、ゲーム自体はオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲームです。しかし、捜査権のある鑑識官である「鑑識捜査官」という設定を作ることによって、従来の推理ものに鑑識作業というフレーバーをうまく混ぜることに成功した、良作になっています。証拠を自分で現場から見つけ出し、専門家の分析と蘊蓄を聞く、というステップがなんとも楽しく仕上がってますね。

1時間ちょっとくらいで終わるエピソードがそれぞれ7+1話分入っており、移動時間などで遊ぶにはちょうどいいボリューム。お値段もお手頃ですし、詰まるほどの難しさもありませんから、ちょっとミステリがしたいな、と思った方にはオススメです。

特徴

「鑑識」を感じさせるゲームシステム

今作の最大の特徴は、タイトルにもあるように、「鑑識」という作業にフォーカスを当てているということでしょう。ゲームの流れは、以下のようになります。

  1. 現場に行く
  2. 現場を調べ、物証を得る
    • 場合によっては、ルミノール試薬や指紋検出用のアルミ粉末などのそれらしい機材も使用する。
  3. 科研に戻り、各専門家に物証を分析してもらう
  4. 分析された物証を元に、考察する
  5. 1 に戻る

現場で得られた証拠に対して、分析するところまでしっかり面倒を見ることが、他のミステリものと異なるところですね。

特に、専門家が法医学や指紋、物理、犯罪心理などなど、部門ごとに設定されており、物証を得るごとに「これは誰に見てもらおうか」と考えるステップが入ることが、鑑識官っぽさをうまく演出していると思います。それぞれの専門家にしっかりとしたキャラクター付けがされており、時には各人に着目したストーリーが用意されているのも、専門家集団という雰囲気を出していてよいですね。

タッチパネルの活用

プラットフォームが DS ということもあり、証拠集めをタッチパネルを使ってうまく体感させてくれていると感じました。ルミノール試薬を吹きかけて血痕を見つける作業など、やはりタッチパネルを使っているから楽しかったんだろうと思いますし。

また、2になって、画面に丸を書いて指示する、という方法が加わったのも、アナログ的なインターフェイスでよかったと思います。

蘊蓄

立場が鑑識官であることもあり、専門家から専門知識のレクチャーを受けたり、時には自らが証拠の分析をすることもあるというのも面白いところです。まさか、ゲームで直腸温度から死亡推定時刻を計算させられるとは思っていませんでした(笑)。こういった、蘊蓄が溜まるというのも、アドベンチャーゲームをプレイしていて楽しくなる要素の一つですから、よく作ってあると思います。

後日談と追加シナリオ

おまけ要素として、後日談と追加シナリオが用意されています。後日談は、7話分をクリアしたらオープンし、追加シナリオは7話全ての推理を間違いなく行った場合にオープンします。

後日談は、名探偵コナンのED後のショートエピソード程度の、本当にちょっとしたものなのですが、全てクリアして、ゲームを終えようとしているプレイヤーへのご褒美としては、非常に適切なもののように感じました。作品世界に対する愛着を持ってもらうにはよい方法ですね。

追加シナリオは、ボリュームとしては各話にそれほど見劣りのしないもので、本編とは少し趣向を変えた内容となっています。オープン条件であるノーミスクリアは、一通りクリアするだけとは難易度がかなり違いますので、一般プレイヤーには適度な難易度を保ちつつ、コア層のプレイ時間を延ばすには面白い仕掛けですね。

ゲームシステム

プレイの流れに関しては、前述の通り。オーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲームです。アイテムの概念はありますが、証拠という形で入手し、分析を行った上で、推理パートで使用します。

推理パートでの証拠選択や、特定の選択肢において選択を間違えると、ペナルティが与えられます。ペナルティはクリア時のクリアランクに影響します。ペナルティがあまり溜まりすぎると途中でゲームオーバーになります。クリアランクは、おまけ要素のオープンに影響します。

シナリオ構造

一本道のシナリオです。選択肢による分岐もほとんどなく、推理に関する部分の選択ミスはペナルティという形で処理されます。

場所の移動先選択画面もありますが、自由度はない場合がほとんどです。その分、無駄足を踏むことも少ないわけですので、一概に悪いとは言えませんね。自由に移動できるという開放感を演出しつつ、プレイヤーに無駄な時間を過ごさせないという意味では、良くできているといってもいいかもしれません。

ストーリーの感想など

ミステリとしてトリックがすごいという性質の作品ではありません。むしろ、こつこつ証拠を積み上げていって、考察していくのを楽しむというスタイルです。

キャラクターには、個性溢れる人や幽霊や猫又がそろっていて、掛け合いも楽しく読めるかと思います。

各話は短編ミステリですので、基本的には物語の主題といったものはあまりありません。しかし、ラスト付近のエピソードの盛り上げ方はきちんと分かっているなぁ、と感じました。主人公が属するはぐれもの揃いの科研が、警察という巨大な官僚組織の暗部と対決する。燃えるシチュエーションですよね!

なにはともあれ、全体的に良くまとまっているタイトルだと思います。価格分の価値は十分にあるかと。次回作にも期待です。

あ、ただ、2になって、シューティングっぽいミニゲームが入ったのは少しいただけません……。ここまで1と2でシステムを共有していると、プログラマの時間が余っていろいろ作りたくなる気持ちはよく分かります。分かりますが、そういった追加要素は、アドベンチャーゲームとしての楽しさを増す方向にぜひ使っていただきたいものです。ミステリゲームのファンの多くは、アクション要素を求めてはいません。ターゲットを見誤らないようにしつつ、顧客満足が上がる次回作にしていただきたいと願っています。