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立命館大学映像学会発足記念シンポジウム+未踏プロジェクト松原PM中間報告会

表題のようなものが立命館大学の衣笠キャンパスでありましたので見てきました。理系なもので知らなかったのですが、文系の学問領域では大学の学部ごとの学会というものもあるんですね。立命館大学の映像学部は今年の4月に発足ですが、立命館大学映像学会が先日発足したとのことで、その記念シンポジウムでした。で、なぜか松原PMが担当分の未踏プロジェクトの中間報告会を兼ねている、と。プログラムはこちら(PDF)

ちなみに、映像学部の「映像」というのは、どうやらかなりの上位概念らしいです。僕も人に聞いた話なのでどこまで理解できているかはわかりませんが、脳が映像として処理する体験はすべて「映像」なのだとか。夢も小説も脳にとっては「映像」だ、ということで、その文脈においてはゲームも「映像」に含まれるようです。そんな背景もありまして、映像学部の取扱品目は、太秦とのパイプを持った映画分野も大きいのですが、同時にゲーム分野や携帯コンテンツも対象としているとのこと。なお、今日のシンポジウムはゲーム一色でした。

未踏の発表も(特にバランスボールインターフェイスなど)面白かったのですが、時間もないので、手短に。

午前中の特別講演は、先日も話題にした映像学部のサイトウアキヒロ教授*1のゲームニクスの話題と、やはり立命館に籍を置く*2上村雅之教授とサイトウ氏との対談でした。上村先生の話の中で、興味深かった一節が:

  • 日本の優れたゲーム開発者は、自分のリアルな遊びの体験を豊かに持っており、それをゲームに変換して売っている。
  • その反面、ゲーム機というのは、ゲームニクスなどのおもてなしの心がいき届きすぎていて、遊びに関して「過保護」なマシンとなっている。
  • そのため、子どもたちから、自分でルールを考えて遊ぶという経験を奪ってしまっており、結果として日本の豊かな遊びの文化の継承を破壊しているのではないか。
  • と思って、学生にアンケートを採ってみたら、子どものころに学校でマリオごっこやポケモンごっこをしてリアルな遊びを楽しんでいたらしい。
  • 学校はゲーム機持ち込み禁止という制限があったことが功を奏し、その制限下での楽しみをきちんと子どもは自分たちで作り出していた。
  • (サイトウさんの補足)昔、遊び方をユーザに丸投げしたような形のゲームを作って、サテラビューで配信したりしていた経験から言うと、そういったプリミティブなゲームを喜ぶのはコアな100分の1の人だけだった。ゲーム機上とリアルな遊びでは何かが違うようだ。
  • リアルな遊びでは、その集団の中心に、新しい遊びを考える遊びの天才が居る。それが違い。

午後には設備を見せていただく時間もあったのですが、3つのプロジェクタを利用した大画面プロジェクション環境や、それとマーカー付き液晶シャッター眼鏡を組み合わせた3D没入感提示など、かなり充実した設備でした。演習室のそれぞれの席に HMD が用意されているなんて、なんてアレげな環境でしょう。副学部長の大島先生曰く、学生が卒業する4年後に何が来ているか分からないので、とりあえず最先端の技術をいろいろ触らせて、何が来ても驚かない卒業生を育てたい、とのこと。

また、初耳だったのですが、Virtools というツールがあるそうで、学生の実習ではそれを使ってコンテンツのオーサリングを行うとのことでした。家庭用ゲーム機のようなディスプレイ向けゲームも、VR 系のインターフェイスを利用するものも、同じプラットフォーム上で作成できるのだとか。実習では、他に Maya や Alienbrain なども使わせるとのことで、どんな人材が育つのか楽しみですね。映画のカメラワークの実践ができ、シナリオ論の基礎も押さえていて、かつプログラミングも分かるゲームプランナーというのがきちんと育てば、それはなかなか貴重な人材です。

最後には、松原さんの産官学連携に関する講演があったのですが、こちらも(雑談に近かったものの)具体的な産から学への要求項目も述べられており非常におもしろかったです。あれは EC2008 などでもぜひ話していただくべきものではないかと思ったり。

追記

シンポジウムに関してのファミ通.comの記事が出ています。また、「映像」という概念に関しましては、立命館大学映像学部の北野圭介先生による映像論序説という Web 上での連載記事が参考になるようです。今後、ゲームに関する言及も出てくるかもしれないとか。

*1:専任ではなく、普段は本業の会社で勤めて、必要なときにだけ立命館にいらっしゃる、という形のようです。

*2:同上。