PS2「幻想水滸伝V」コナミ
この週末、久しぶりに時間が出来ましたので、ようやくのことクリアしました。クリア時間は確か80時間くらいでした。3や(特に)4ではボリューム的に少し物足りない感じもありましたが、5はやり応えのあるボリュームだったのではないでしょうか。
特に、今作で特筆すべきは、そのテキストの量と質。ここまでシナリオ進行に伴ってこまめに町の人のセリフが変わり、しかもその内容が主人公たちの行動に影響されているタイトルは見たことがありません。もしかしたら最近のFFなら同程度のテキスト変化はあったのかもしれませんが、幻水5では話す内容がただのうめ草ではなく、世界観を補強するような生き生きとした会話が多いのが驚きです。当然、本拠地に居る108人(前後)の仲間もこまめにセリフが変わりますし、それらは各人のバックグラウンドと個性を反映させたものになっています。
幻想水滸伝はその「世界」が売り物であって、世界を深めるように持っていくことがもっとも商品価値を高めるのだ、ということを理解し、実行した方が居らっしゃったのでしょうね。ヴィジュアルに走るタイトルが多い中、テキストを充実させ、受け手の想像力に訴えかけるという手法は異質です。
また、プレイしていて思いましたが、やはりシェアードワールドなシリーズ作品はいいですね。真の紋章という大仕掛けがあるおかげで、単体の作品としての完結性を落とさずに、シリーズ間で謎の共有ができており、世界に深みが出ています。
正直なところ、4までは108人も居て処理しきれていない感も強かったのですが、今作では各キャラクターが適切にフォローされている感じがして、非常に好感触でした。こまめに変わるセリフに、決戦前夜イベント・目安箱・調査・風呂と、それぞれ満足できるだけの質と量があったのではないかと思います。このくらいのケアが各キャラクターにされると、108人仲間が居るという幻想水滸伝ならではの良さが出てきますよね。こうやってきちんと各キャラクターがケアされていれば、シリーズ間でキャラクターが被ることによる嬉しさが増し、よりいっそうシリーズファンも付いていくことでしょう。
こういった、物語性で勝負してくれる作品がもっともっと出てきてくれるとよいのですが、広告では伝わりにくい面白さだけに、なかなか難しいのかもしれませんね。
一方、テキストは本当に素晴らしいのですが、それに比べてバランスの悪い部分もあります。例えばマップ画面はかなりさびしいです。建物のなかで外枠が真っ黒だと残念な気持ちになってしまいますよね。ただ、ここに関しては、選択と集中を行ったのだと考えれば理解は出来ます。
しかし、理解できないのが、歴史のあるタイトルとは思えないほどの UI の悪さ……。道具の使用画面と装備画面が分かれている上に、装備するときもなぜかキャラクター選択から行くのではなく、アイテム一覧から装備を選んでキャラクターにつけることしかできないという仕様。また、陣形の編集画面ではリザーブからキャラを取り出せないのも不思議です。普通に何タイトルかディレクションの経験があるかたが仕様を切れば、ここまでユーザを混乱させることにはならなかったのではないかと思いますが、いったい何があったのでしょうか……。本当に謎です。
何はともあれ、自分の中では歴代でかなり順位の高いタイトルとなりました。それにしても、これだけの量の世界観に沿ったテキストを用意するのにいったいどういった手法を取ったのかが気になります。シナリオを担当されていた方のインタビューとか、ぜひ見てみたいものですが、どこかに情報はあるのでしょうか……。
FFも12でシェアードワールド的な方向へ舵を切っていると僕は理解していますが、ぜひ幻想水滸伝を参考にして、面白いシリーズ作品にしていただきたいものです。