PS2「Final Fantasy XII」SQUARE ENIX

ぼちぼち進めて、ようやくクリアしました。クリアレベルは 55 前後。クリア時間は 100 時間くらいです。ながらプレイが多かったので時間がかかり気味ですが、まっすぐ進めばかなり少ない時間でクリアできそうですね。

PS2 の円熟期の代表作となるのは間違いないでしょう。リアルタイムレンダリングでは PS2 の能力を最大限に引き出しているのではないでしょうか。さすがにプリレンダリングムービーの部分との差ははっきりとはしていますが、リアルタイムレンダリングのイベント部分でも違和感はほとんど感じないくらいのレベルになっていました。特に人物の表情表現は特筆すべきでしょう。ディスク1枚で収まったのもリアルタイムでほとんど済ませられるようになったおかげですね。

ストーリーに関してですが、従来の Final Fantasy ナンバーズタイトルとは趣を異にしているので驚きました。これまでは、世界を使いつぶし、隅々までしゃぶりつくしながら話を盛り上げていくのが定番でした。世界に危機が訪れたり、世界を崩壊させたり、ですね。

それが、今作では最後まで帝国と征服された周辺都市の反乱軍との戦い、という枠で話は収まります。超常的なファクターである「不滅のもの」にしても、あくまでも力を与える存在としてのみ描かれるのみで、直接対決はしません。地理的にも、ロザリア帝国は何人か関係者が登場するだけで、ついにロザリア帝国を訪れることはありません。

この変化を「大人になった」と評価すればいいのかは難しいところです。確かに、風呂敷を広げすぎないおかげで、人物の葛藤の内容は(祈り子がどうの、という複雑な設定と比べれば)分かりやすくなりました。ランディスに関する設定など、語り過ぎないことで世界観に深みを出している部分もあります。

ただ、ひとつの世界をしゃぶりつくせるのは、プレイ時間を何十時間と取れる RPG だからこそできること、という考え方もできます。そういった楽しみを Final Fantasy シリーズに期待しているファンも多いことでしょう。ファンの期待に応えるだけでは発展はないものの、次作はもう少し盛り上がるシチュエーションを用意してもらえたら嬉しいですね。

ところで、今回の主人公はアーシェとバルフレアなんでしょうか。ヴァンとパンネロはあくまでもプレイヤーの視点を提供するための分身として設定されているだけで、あまり物語的に意味のある存在ではないですよね。6人もメインキャラが居る割には使い切れてない感がありますが、アーシェとバルフレアに絞った、とプラス解釈するべきでしょうか。

ところどころで、いい台詞はあるんですけど、繋がらないんですよね……。

それはそれとして、今回はコンシューマプレイヤーにオンラインゲームのゲームスタイルに慣れてもらう、という裏の目標があるのだと思いますが、FF12 の世界観のままでオンライン化するんでしょうか。FF12 のように世界設定を使いつぶさない話の作り方は、シェアードワールドな作品群を展開する場合に見られるものでもあります。FFXII-2 か FFXII Online かのどちらかは来るんじゃないかとは思うんですが、どうなりますか。