DS「探偵 神宮寺三郎DS いにしえの記憶」アークシステムワークス
神宮寺三郎シリーズをプレイしたことがなかったので軽く触ってみました。旧作10本に書き下ろし2本が入っているお得なパッケージです。なお、シリアスなストーリーものである「神宮寺三郎シリーズ」と、推理部分にのみ特化したコミカル路線の「謎の事件簿」の2種類が半々で入っています。
感想は……オーソドックスな探偵もの、という感じでしょうか。作風をしっかり補強するいい雰囲気のムービーが何本も用意されていたことには驚きましたが、システム的にも、シナリオ的にも目新しいものはそれほどないかもしれません。過去作品に関しては携帯アプリ版からの移植のようですので、もしかするとシステム的にも簡略化されたあとなのかもしれませんね。本編の各話の分量は通常の小説換算で短編〜中編といったところです。
システム的にあえて挙げれば、パスワードというシステムは面白いですね。ゲーム中に4文字のアルファベットが脈絡もなく出てくることがあり、それをタイトルメニューのパスワード画面から入力すると、グラフィック閲覧や追加シナリオなどがプレイできる、というものです。フラグを立てるのではなくて、あえてユーザによるパスワード入力というクッションを挟むことで、自分の手で開いた、という感じをうまく演出できている気がします。
シナリオの感想としては、神宮寺三郎シリーズは極めてハードボイルドな印象があったのですが、思ったよりも神宮寺三郎というキャラが柔らかくて驚きました。ただ、新宿で生きる探偵、という雰囲気は十分に出ていましたので、そういった話が好きな方にはいいのではないかと。後のタイトルに行くほど組との関与が増えてくるのは、ユーザの嗜好に引っ張られていったんでしょうね。
謎解きとしては、謎の事件簿のほうが適度な難易度で推理を楽しませてくれて、推理クイズを楽しみたい人にはよいのではないでしょうか。ただ、1話1謎ですので、6話だと分量的には少し物足りないかもしれません……。謎の事件簿×100みたいなコンテンツがあれば、それはそれで需要がありそうですね。
謎の事件簿に関しては、推理パートでは多くの場合選択肢の組み合わせ数が数十に上る中から正しい組み合わせを選ばないと正答できませんので、選択肢総当たりではなかなか難しいようには作ってあります。さらに、謎の事件簿中のパスワードから開く追加シナリオでは、ほぼ追加ヒントなしでの暗号解読というそれなりに歯ごたえのあるコンテンツも用意されています。
分量は少なめですが、推理パズル好きなら謎の事件簿は悪くないかもしれません。あとは、落ち着いたテイストの推理ものを軽く遊んでみたい方に本編がオススメ、という感じでしょうか。